特別な石・・・・カイヤナイトのリング(4)

特別な石・・・・カイヤナイトのリング(4)
そのお客様に、カイヤナイトは割れていないこと、接着剤での張り付けがどうしてもできないこと等をメールしました。

また、いつの間にか、私の中で、カイヤナイトに対する執着心がすっかり薄れていることにも気づきました。
以前は「このカイヤナイトは絶対売りたくない。手元に置いておきたい」と思っていたのに・・・
送りたくないけれど、新しいリングを作ることができなくて、惜しみながら仕方なく送った石だったのに・・・

そして、一応、娘にも聞いてみました。
すると以前は「これは絶対売っちゃダメ」と言っていた娘があっさり「いいよ」と答えるのです。

たぶんきっと、カイヤナイトは、私たちとの間で果たす役割を終えたのかもしれません。

自分の中で、カイヤナイトに対する執着心がすっかり消えてしまったことに少し驚きながらも、
「特別な石、このカイヤナイトは、今、きっとあのお客様に送るべきなんだろうな。あのかたにふさわしいんだろうな」という気持ちが、静かに確信に変わっていきました。

お客様からはすぐにお返事のメールをいただきました。

そのお客様は、とても石を愛して下さるかたでした。
カイヤナイトが、とても綺麗で、大変気に入っていたこと、また、そのかたが石に向かって、「愛しています」と心の中で言うと、石がキラキラと光って答えてくれたというメールを頂きました。
そして、「そんな可愛い石だったので、その石が割れたと聞いたときには泣きました」

まさか泣かれるとまでは、私も予想していなかったので、「割れた」などと言ってしまったことを大変申し訳なく思いました。
それほど愛していていただいていたとは思わなかったので、すみません・・・。

あのカイヤナイトは、それほどまでに可愛がってくれる方の元に行くことができて、本当に幸せものです。

そして、また、きっとあのカイヤナイトは、お客様の元で、何か役目を果たすことと思います。



私は、天然石はもちろん大好きです。
そして石は、ただの鉱物というよりは「ヒト」に近くて、まるで昔からの友達がそこにいるような感覚を味わうことがあります。

たぶんそのお客様も、石が「ただの石」ではなく、「ひと」や「友達」に近い存在だということがおわかりになるかたなのだと思います。


また、今までの経験上、人間同士でも何でも、世の中は「相性」がとても大事だと痛感しています。

人間同士でも、モノでも、相性のいいもの同士が一緒にいるとお互いの運を上げ、相性の悪いもの同士が一緒にいると、お互いの運を下げます。

自分と相性のいい人や、いいモノを見極めることがとても重要です。

そのカイヤナイトは、たくさんある石の中でも、特別な石でした。
手もとにおいて、送るつもりのなかった石、そして送ったのに一度は私の元に戻ってきたそのカイヤナイトは、役目を果たした後、その石にふさわしいかたの元へ、お嫁に行きました。
お客様はもちろん、カイヤナイトも幸せだと思います。

「出会いは必然」とよく言いますが、今回のカイヤナイトを巡る出来事は、きっと必然だったんだろうな・・・と思えます。

今、思い返すと、あの特別な石、特別なカイヤナイトを手放してしまったことを、ちょっぴり後悔することもあります。

でも普段なら、惜しくて絶対に発送しないような時に、絶妙のタイミングで注文が入ったこと、割れてもいいから送って欲しいと言われたことを思うと、やはりあのかたの元に行くべき石だったのだろうと思えます。


石は、持ち主がつらいときにその痛みをやわらげ、その人の進むべき方向に導いてくれます。
パワーをくれます。
私にとっては、あのカイヤナイトは、癒しの石で、そして、一緒に大変なときを乗り切ってくれる石でした。

そのお客様はもちろん、カイヤナイトをとても可愛がってくださっているのですが、お客様からのメールを拝読すると、カイヤナイトもお客様の元でとても幸せそうです。
そのお客様とカイヤナイトは、一緒に幸せなときを感じるような相性なのかもしれません。

天然石には、不思議な魅力やパワーがあります。
うまく言葉にできないような何かがあります。

ご注文くださったお客様にふさわしい石をお送りできるよう、私も微力ながらいっそう努力してまいりたいと思っています。